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デスクトップの金庫:Argon2id と、推測に強いプロファイル

AirGap モードでは、AirNox のデスクトップ側は署名鍵を持ちません。それでも、守る価値のあるものは持っています。どのウォレットがあるか、どのアドレスが自分のものか、アドレス帳、設定。そのすべてが1つの暗号化プロファイルに入っています。

南京錠の付いたプロファイル文書、並んだメモリブロック、時計、チップ。片側には鍵
パスワード1つ、プロファイル1つ、マシン1台。
目次

1つのプロファイル

デスクトップがあなたについて知っていることは、すべて1つの暗号化ファイルに入っています。ウォレット、そのアドレスとラベル、アドレス帳、ネットワーク設定、スマホとのペアリング、そしてエアギャップ(air-gapped)型ではないウォレットについては、そのウォレットが使うシード(seed)。このファイルは、作成したマシン上で、あなたのパスワードで開きます。そして、ウォレットファイルにふさわしい慎重さで書き込まれます。

Argon2id と、メモリハード(memory-hard)が重要な理由

パスワードだけでは弱い秘密です。人は短いパスワードを選びがちで、高速なコンピューターなら、安価なハッシュに対して毎秒何十億回もの推測を試せます。防御策は、推測1回ごとのコストを高くすること、しかも専用ハードウェアでは近道できない形で高くすることです。

AirNox Wallet は、Argon2id でパスワードをストレッチします。Argon2id は Password Hashing Competition の優勝アルゴリズムで、まさにこの用途で現在推奨されているものです。Argon2id はメモリハードです。計算には、プロセッサ時間だけでなく、計算している間ずっと大きなメモリブロックが必要です。GPU には何千ものコアがありますが、何千もの大きなメモリブロックはありません。そのため、GPU で推測を並列実行するというおなじみの手口は、ほとんど役に立ちません。専用に作られたハードウェアでも、事情は変わりません。

パスワードは Argon2id を通り、約1秒と大きなメモリブロックを費やして、このマシンに結び付いた暗号化プロファイルになる
メモリと時間、どちらも意図的に高コスト。

あなたのマシンに合わせて調整

コストは固定値ではありません。プロファイルを作成するとき、ウォレットはあなたのパソコンを計測し、1回の計算にそのマシンで約1秒かかり、大きなメモリ領域を使うように Argon2id を調整します。高速なワークステーションなら、推測1回あたりの仕事量が増えます。小さなシングルボードコンピューターなら、パラメーターはそのハードウェアに収まる範囲に合わせられ、それでも約1秒かかります。

あなたはロック解除のたびに1回だけコストを払う。攻撃者は推測のたびに払い、GPU は助けにならない
あなたが払うのは1回。推測する側は毎回払います。

この非対称性が要点です。あなたが払うコストはロック解除1回につき1度で、1秒など何でもありません。推測する側は、推測のたびにそれを払います。100万回の推測は、マシン1台がそれだけにかかりきりで100万秒、しかも毎回大きなメモリを使います。そして、作業を GPU のラックに振り分けて安く済ませることもできません。

マシンに結び付ける

プロファイルは、作成したパソコンに結び付いています。TPM 2.0 セキュリティチップを搭載したマシンでは、この結び付きをチップが担います。別のマシンにコピーしても、パスワードだけではファイルは開きません。これで、盗まれたファイルは、普通よりはるかに厄介な問題になります。

金庫のそのほかの機能

延びていく待機時間。パスワードを間違えると、次に試せるまでの待ち時間が延びていきます。もともとコストの高い推測が、高コストなうえに遅くなります。

無操作時の自動ロック。席を離れると、プロファイルは自動でロックされます。戻ってきたら、パスワードを1回入力するだけです。

ロックされたメモリ。プロファイルを開いている間、その秘密情報は、OS にディスクへスワップしないよう指示したメモリ上に置かれます。シードがそこにあるのは必要な間だけで、使い終わればすぐに消去されます。ウォレットを閉じるかロックすると、すべてが消去されます。

画面キャプチャ防止。ウォレットは自分のウィンドウをスクリーンショットや画面録画に映らないようにしているので、同じパソコン上のキャプチャツールには、あなたが見ているものが見えません。

安全な書き込み。保存はすべてアトミックに行われます。新しいファイルを完全に書き込んでから所定の場所に差し替えるので、書き込みの途中でクラッシュしても、残るのは直前の正常なバージョンで、書きかけのファイルにはなりません。破損したファイルは名前に印を付けて退避され、黙って使われることはありません。

所有者のみのアクセス権。プロファイルを読めるのは、あなたのユーザーアカウントだけです。同じマシンのほかの誰も読めません。

守るもの、守らないもの

エアギャップ型ウォレットの場合、デスクトップのプロファイルにあるのはアドレスと設定で、鍵はスマホにあります。金庫が守るのは、あなたのプライバシーと設定です。シードがデスクトップにあるウォレットの場合、あなたのファイルを手にした攻撃者と、あなたの資金の間に立ちはだかるのがこの金庫で、だからこそこういう作りになっています。そしてそれが、シードをこの金庫に収めた AirNox Wallet が単体でも日常的な操作には堅実な選択であり、最も大切なものには AirGap が最上位の層であり続ける理由でもあります。どちらの場合も、強いパスワードを選ぶのはあなたです。金庫は推測のたびにコストを課します。短いパスワードを長くすることはできません。

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